この世にひとつ
0■この世にひとつ
一本のかんざしがここにある
血の涙のつぶ そんな珊瑚
色町で生きたあの娘のいのち
徒(あだ)し心がヨ 笛吹いたのさ
そっとこの手に握らせ 息絶えた
花だった ああ花だった
瞳の中に 映す 輪廻転生
このかんざしがどうしてこの僕の手許に
この世にひとつ この世にひとつ
あの娘の笑顔は二度と咲かない色
今日も歓楽街は賑わうひとごみ
誰も彼も うかれて忘れる ああ この世にひとつ
たかがこれだけの為に 耐えてきた
誇らしげにそう 髪に挿(さ)して
苦しみもだえた 一生がここに
あの娘のすべてが かんざしにある
そっと頬へと手を伸ばしゃ 泣けてくる
花だった ああ花だった
悲しい物語なぜか覚えてる
このかんざしとどういう因縁があるのか
この世にひとつ この世にひとつ
あたまが重くなるよ 耳鳴りがする
今日もこの牙剥く街にひしめくよ
誰も今を自分を忘れたい ああ この世にひとつ
瞳の中に 映す 輪廻転生
このかんざしは誰のものやら
そっとこの手に握らせ 息絶えた
花だった ああ花だった あれは何時代(いつ)のことやら
この世にひとつ この世にひとつ
あの娘の笑顔は二度と咲かない色
今日も歓楽街は賑わうひとごみ
誰も彼も うかれて忘れる ああ この世にひとつ