長い文の途中
0■長い文の途中
ともすれば一度も愛したことないと
愛しかたも実は知らないと私は
下賤(げせん)の身ならばこそ訝(いぶか)しがるけど
つらつらと筆を持ち長い文綴る
きっと答えがないことを
問いかけてるのでしょう
月の姿は変わってゆくけど
私は衰えて 鏡割る今夜
立待 居待 寝待 更待 待ってなどいません
泣いてもいません 振り向かずさっさと歩いてゆくのです
断ち切るためにも 赤い糸はあるのです
結べぬ糸など もうほどきます
あなたに逢えなかったと 取り縋(すが)りながら 想いを殺す
愛嬌のあるよに振る舞ってみるけど
私には似合わぬ しぐさのようでいて
甘皮を取っている はだかの爪さえ
誰の為でもないと 言い聞かせてる
きっとなんでもないことを
愛と呼んだのでしょう
姿は変わってゆくけど
私ならくちべにで 生まれ変われます
狂った 時計に 誰か 住まわせ ひとり生きるのです
恋などしません 面倒なこと捨てて 自分を想います
叶いそうな夢 それだって叶わぬ夢
夢持たなくても 生きてはゆける
それでも現(うつつ)に 見る夢はすばらしいと誰か言う