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聞かないでくれと首を振った
もう忘れたよと見栄を切った
ない場所がふるさとになった
どこかのそらに棄ててきたんだ
お前に会うまで口をつぐみ
それ以上ふれさせなかった
あそこに停る艀(はしけ)みたいだ
今思えば俺も頑(かたく)なだった
ああ港のかもめ歌さえなつかしい
吹かれりゃ 風の色にさえも馴染む
しるべなき 迷い道の果てに
旅雲を連れ こうしてフラリと
戻ってこれるなんて
逢わねば千年 逢えばすぐさま
わだかまりも解ける 恋人はふるさとの胸
屋根の上に石を置いている
そんな漁村がなつかしいぜ
友人の笑顔たちに今
迎えられたら 気恥ずかしいね
生まれて育った国が必ずしも
ふるさとであるとは限らないし
ゆかりもない国の方言を
ふるさとにする こともあるよね
ああされど日本 縦に伸びている
島国 此処はまた味わい深い
口に出せず こころの中に在る
ふるさともある 生きちゃ戻れない
そんなふるさともある
逢わねば千年 逢えばすぐさま
語らずとも そっと抱きあう恋人よ