この一本のゆび
0■この一本のゆび
Pearl Earring To His Pocket 言葉の代わりに
涙のかたちした 真珠のイヤリング
Pearl Earring To His Pocket 最後のしるしに
あなたのポケットに滑り込ませた Ah
結末がわかってて した恋でも
変えてゆけると おもってた
この一本のゆびは あなたにふれて
やがて離れることを 知っていた
わたしのなかのマルタ・アルゲリッチ
今は一本のゆびで 胸の鍵盤を奏でる
たくさんなくてもいいの
愛はほんの少しひとつあればいいのよ
未来のように信じさせてくれた あなたとのささやかなすべてが
霧のむこうの潮騒を呼ぶ
Pearl Earring To His Pocket はかなんでしまいそう
おとずれた避暑地の海は 雨のあと虹かかる
Pearl Earring To His Pocket やり切れず無口になる
さびしげなしあわせをみつめていた
失くしたのじゃなく 捨ててきてたものが
こころを苦しませるのね
もうこどもには戻れぬけれど まだこんなにも
おとなにならなくて いいことが あるの
それでもあなたをわかりたい そうよ
わたしを裏切る だけの愛があなたにあったかと
きみより好きなひとが
出来たとつぶやいたあなたの心探る
貴賓室から放る手紙 水に濡れるインクの文字さえ
もう読めないけれど
わかる 何かあった ふたりだけが この一本のゆびでふれた
わかる 何かあった ふたりだけで この一本のゆびでふれた