Painting Blue
0■Painting Blue
思い出がえらぶ色はブルー
パレットナイフで色を切り取る
胸のキャンバス そこには只
海をみるおんなが描かれる
彼のモカシンが出ていった
私ひとりの世界だから
涙には理由があるのよ
わかれには根拠はないの
ピアスが疼(うず)いて
胸をおさえる
彼の舌はまだ心臓にあたる
Painting Blue ひざがしら
Painting Blue くすぐるよ
陽気なブルー 海の底
どこまでも澄む 光がふと
やすらぐ痛みをおしえている
紺碧の海の砦(とりで)には
私が住んでいる青い部屋
かすかな泡がのぼってゆく
涙はうるんでいる真珠
恋に動機があるというなら
その恋は恋ではないわ
これからかなしみ
たべて生きるの
ゆびはつまむ 貴腐してゆく葡萄のつぶ
Painting Blue ルージュだけ
Painting Blue 浮かんでる
耳抜きしても 零(こぼ)れる夏
このゆううつがとても好きよ
ほほえみのコインなんてない
私 青い国の住人