歌詞のようなブログ

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あまい匂い

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■あまい匂い

時おり図書館に寄る
何か読みたくて
古いインクと紙の混ざる
あまい匂いを嗅ぎに

特に本にはこだわらず
拡大鏡を置いて読む
イネス・デ・カストロとペドロを
ぼくとあの娘に見立てたりして

時の支配人 あなたに聞きたい
ぼくの愛は
長らく貸し出し中の本
いつかえってくる

栞はさんで 投げだしたままある
ぼくらの 本のストーリー
装丁から こぼれおちて白紙さ
でもすべて余白に綴られている

寝袋持って卒論
缶づめになった
机でチラっと見ていた
あの娘の真剣な表情

時の支配人 返却予定日
過ぎてなおも
あの娘は愛をぼくに届けず
ノーとは云わない

くるしかったよ だから我慢せずに
逃げたよ 生きるために
なぜあの時 さよならしかなかった
ひとの心など読み取れなかった 

電話番号もそのままにしてある
かかってこない 百も承知でも 
そんなはしかをまだひきずる 今も

時おり図書館に寄る
何か読みたくて
古いインクと紙の混ざる
あまい匂いを嗅ぎに



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