ホームにて
0 0■ホームにて
ひとつむこうの柱のそばに
あのひとが立っていた
なつかしい雨のにおいが
この胸にもながれてくる
タッチパネルをさわってる
あのひとは変わらない
それなりに歳をかさねて
でも声はかけられなかった
なんだか乗り合わせるのが
照れくさくてひと便見送る
誰も知らない青春が かさなる
こころのなかでちいさく手を振るの
忘れるためどれだけの月日
その後かかったのでしょう
あのひとの誕生日ごと
なぜ泣きなくなったのでしょう
あなたがもう少しだけ
不真面目なひとだったらきっと
さっき見かけたときにそう わたしも
冗談云って わらいあったでしょう
青春の日にふるえてる
胸の隅そんなわたしがいる
きれいな口紅でもつけてくれば
よかったのにね ちょっとだけくやしい