星の河
0■星の河
わかれよ この世の哀しみを映す
わかれよ ひとは星を浮かべた河
岸にふたり屈(かが)んで少し風が
出てきたようだと話していると
ゆっくりと御船(みふね)が離れてゆく
水塔婆(みずとうば)とシラネアオイもあとを追う
川面はゆるやかに染まり始める
おまえの瞳に光環(ひかり)が拡がり
今年もここに来れてよかったと
口元がやっとほころんで笑ってる
流れてゆけ かなしみよ留(とど)まることなく
はこんでゆけ この世から送る手紙を
あの子も草か木か花の露に姿を変えて
時々こちらを見ているよ
手を合わせれば 歳月はあっという間
灯篭(とうとう)が揺れて綺麗ね ポツリ言う お前を抱きしめる
どんな家族にも語りたくはない
影のようなことがひとつはある
罪は罪と言うが憎んでしまう
帰ってこないものは二度と帰らない
許すことで救われることもある
お前は何度もそう俺に話した
支え合うよにふたりして
来たけど平坦な道ではなかったね
注いでゆけ かなしみとしあわせは対だ
栄えてゆけ 幻ではないこの世
あれからこどもには恵まれなかったがなんとか
ふたりで暮らしてこれてるのも
…ゆらりと流灯会(りゅうとうえ)