この世にひとつ
0■この世にひとつ
一本のかんざしがここにある
血の涙のつぶ そんな珊瑚
色町で生きたあの娘のいのち
徒(あだ)し心がヨ 笛吹いたのさ
未練で言うわけじゃないけれど
この世にひとつ 残るものは
あなたへの愛とこのかんざし
そう言いこの手に握らせ 息絶えた
花だった ああ花だった
あの娘の笑顔は二度と咲かない色
鮮やかにまたこの胸にしみる
たかがこれだけの為に 耐えてきた
誇らしげにそう 髪に挿して
苦しみもだえた 一生がここに
あの娘のすべてが かんざしにある
あたしが死んだら捨てとくれよ
この世にひとつ 残すものは
あたし忘れてくれる自由さ
こわごわ頬へと手を伸ばしゃ 泣けてくる
花だった ああ花だった
こころは咲くよ いつかまた
供養にそなえる 俺の意気地よ
未練で言うわけじゃないけれど
この世にひとつ 残るものは
あなたへの愛とこのかんざし
そう言いこの手に握らせ 息絶えた
花だった ああ花だった
あの娘の笑顔は二度と咲かない色
鮮やかにまたこの胸にしみる