いそしぎと9月とルフランと
0■いそしぎと9月とルフランと
デッキに横たわり あなたの頬をつたわる
涙みつめながら そっと顔つつんでる
濡れてふるえてる 今あたためてあげる
渇いた唇が ひび割れ声にならない
ああ セイルを孕(はら)ませ
ああ 9月も行くよ
この一生を懸けても 愛はわからないけれど そう
もっとできるだけ抱きしめたい あなたを
波音はルフラン 舵をとれば
海はひろがるスクリーン
岩礁に打ち上げられてた ふたりの日々を映す
さよならするの 過ぎ去ったものを時と呼ばずに
さよならするの 永久に訪れるものを時と呼ぼう
夕凪になる頃 鏡の海に沈む日
あなたの頬の傷痕(きず) さわってもいいかしら
若さのかたちに 絶望してゆくのね
だけど船が進む 限りどこかに着くわ
ああ 風にパタパタ
ああ 切りすぎた前髪(かみ)
押さえてあなたを見てる 可愛いよって云われるより
愛してるよっていわれたいの あなたに
波音はルフラン たったひとつ
望んでる ふたりのとっての
真実に導びかれたい ふたりの未来浮かべ
さよならするの それは失くしてゆくものではなく
さよならするの それは気づけばもうすでに手にしてるもの