焔歌(えんか)
0■焔歌(えんか)
ストーブの上のヤカンが鳴ってる
みずいろにけむる朝 六畳一間の
畳の青にふるえてさっきから
煙草ばかりを吸うあなたは仏頂面
△ 涙ほど嘘になる こんな恋たどるように
摺(す)りガラスの窓にもたれてそっと
雨つぶを撫でている
いつからいつまでなんてわからない
終わりもはじめもふたりには同じひびき
焔歌(えんか)が聴こえる
季節のせいには出来なくて 無頓着なまま
はなれていっても
焔歌(えんか)が聴こえる あどけない姿で
こころでいつまでも手を握っていましょう △
悪戯に過ぎる時を羨(うらや)んだ
ふたりの暗い瞳 おざなりにした
ものたちに怯えながら抱きあうたび
いつだって若さは汗ばんでいる
いっそ見えなきゃいいね あなたはくちを滑らす
愛のうしろ姿も これ先の不安も
見えなけりゃいいよね
何も感じないこころが欲しい
いつだって余計ふたり傷ついてしまう
焔歌(えんか)が聴こえる
それが正しいことのように そこに別れがある
でも出逢ったことは
間違いではない どこかであるときに
こころで手をつなぐぬくもりを思い出す
△くり返し