寿雪
0■寿雪
菰（こも）を巻かれた 松にも積もる白い雪
見上げているふたりは
マフラーにつながれて かたく寄り添う
ひとつの愛を 求めるあまり 多くの
愛に背いてきてしまったのね
さながらふたりは そう 流刑人だね
おなーり おなーり 境内で手を合わせる
おなーり おなーり 神の御前で誓うよ
ましろきものは 哀しくて
ましろきものは 多くを語らぬ
かすかな結晶が 手のひらで溶ける
ふたりはふたりを貫いてゆく
寿雪 寿雪
ふたりのために
寿雪 寿雪
ただ舞っている
絶望こそがいちばん強いひかりだね
だから何も見えない
未来はおろか ほんの今さえも
美しさしかないなんて嘘じゃないか
ひとのかたちをしてる
たましいには汚れも 膿（う）みも在るだろう
おなーり おなーり この道えらんだ以上
おなーり おなーり ふたり一緒に行こうね
ましろきものを 今やっと
ましろきものに 思い出してる
雪を払いながら あなたのスーツの
肩へと手添えるそんな倖せ
寿雪 寿雪
祝っているよ
寿雪 寿雪
灯りともして
風はいっそうせせら笑う
何が起きても負けやせぬ
負けやせぬ
おなーり おなーり 境内で手を合わせる
おなーり おなーり 神の御前で誓うよ
ましろきものは 哀しくて
ましろきものは 多くを語らぬ
かすかな結晶が 手のひらで溶ける
ふたりはふたりを貫いてゆく
寿雪 寿雪
ふたりのために
寿雪 寿雪
ただ舞っている