置いてゆくひと
0■置いてゆくひと
12月の雨 ビー玉の光
朽葉の匂いがする
歩道橋から 工場跡地を
あなたと振り向いている
また会えるよと 言うそのよこがおの
向こうから遠く副都心が ながれて見える
涙がとまらない
さよならがやさしい
こんな想いに気づかせてくれて
あなたはゆく あたたかい手紙をこの胸に
そっと 置いてゆくひと
あなたに出会う 前のひとりには
もう戻れなくていい
たくさんのありがとう言いたい
あなたのぬくもりがある
自販機に照らされふたり離れる
駐車場 あなたの車の音がする
ちいさくなってゆく
ミラーに映りこむ
私なら もう 忘れていいから
あなたはゆく おなじだけさびしいのに笑顔を
私に 置いてゆくひと
また会えるよと 言うそのよこがおの
向こうから遠く副都心が ながれて見える
涙がとまらない
さよならがやさしい
こんな想いに気づかせてくれて
あなたはゆく あたたかい手紙をこの胸に
そっと 置いてゆくひと