冬女
0■冬女
話し相手もいないと一日は長いね
それでも歳を取るのはあっというまね
春夏秋と過ぎても まるで冬を動かない
そんなかなしみもあるよね
春が来なくたっていいじゃないか
冬だってべつにわるくないじゃないか
あんたに言った 泣いてたまるか
不幸のままで 死んでたまるか
来やしないものを待っているより
あたしから迎えに行ってやる
冬女 冬女 ぬくもり求めて人肌にすがるより
あたしは冬のなかまっすぐ歩くよ こころは華吹雪さ
この世にひとがいてもひとがいちばんやっかい
ひとのこころはたやすく通じないものさ
過ぎたことにはこだわらず かなしみも厭わない
そんな女がいてもいい
心を始めるならいいじゃないか
いくつになったって そう いいじゃないか
あんたなどに 振り向くもんか
しあわせのほうへ 会いにいくのさ
希望はだれかにもらうものじゃない
希望はだれかに与えるもの
冬女 冬女 そこにないものばかり 愛と呼ぶよりも
あたしは自分から愛しにいくよ 晴れたスカーフ巻いて