ホワイト・クロコダイル
0■ホワイト・クロコダイル
見下ろす午後の死んだ町
きみのスカートのフレアーが
まだ揺れる僕のグラスには
別の女といるというのに
シングルモルトに胸が悪くなる
さよならを幾ど弔えど
厚い香りに 眩暈(めまい)がする
呑み込んだすべてを吐き出した今も
きみの束縛から逃れられない
孤独なホワイト・クロコダイル・マン
わたしの何を見ているの
あなたがいつだってわからない
哀しみにも恍惚(こうこつ)となる
契約は履行してと云った
襟に挿した花 ふいに投げ捨てる
ピジョーにクチュールにヴァケーション
きみは美しい 支配者だった
牙なんか剥いても きみを失くしてから
現実は僕には 容赦はしない
僕ならホワイト・クロコダイル・マン
いっそだましつづけて欲しいの
信じればしあわせ そんなきみに
愛さえひび割れた