カンテラ
0■カンテラ
擦り切れたカンテラをかざす
北の大地はしんと閉ざされる
凍るレール 足止めにされた
列車の客は 馴れてるもんだよ
ひざの冷凍みかんをむいている
ストーブの灯だけがゆらめいて
さよならなんかで何がわかるの
おまえの言葉が今も僕を呼ぶ
鉄道員はカンテラを高く低くゆらす
前を後を照らしているのか
僕はおのれの 足もとの
闇の深さを照らすけど
何も何も見えない
トンネルのごう音を抜けて
雪あかりの町の外れだよ
今日がとても長く感じるよ
線路を歩き次の駅へ行く
荷物持ち影だけがつづいてゆく
キツネの襟巻き巻いたご婦人も
何にもわかっちゃいないひとね
おまえの涙が今も問いただす
鉄道員はカンテラを高く低くゆらす
前を後を照らしているのか
僕はおのれの 足もとの
闇の深さを照らすけど
何も何も見えない 見えない