タメールのひつぎ
0■タメールのひつぎ
ひつぎには赤い薔薇の
冠それしかなかったという
なきがらもないのに ただ
亡くなったのだと言われている
謎の女 タメール 民に
ふるさとと呼ばれた タメール
政(まつりごと)は男の世界
謀(はか)られたか タメール
おもてからある日すがたを消した
タメール タメール
悪口ながしている
取り巻きたち百もあやしい
亡き王のそのあとを
愛人が継いではわるいのか
つながれたか タメール
罪着せられか タメール
男を凌(しの)ぐあの晴れ姿
生きているのか タメール
壁画のタメールはこたえはしない
タメール タメール
歴史はいつも創られる
いくさの旗など振らなかった
タメールが 風に消えて
国は衰え やがて滅びた