雨の糸を便せんにして
0■雨の糸を便せんにして
このベンチに座ってると
心が静かになる
私を含め家族がいた
ここもすっかりさまがわり
買い手のつかない
更地のちかくに
私は部屋を借りている
雨にうかぶこの花壇は
花言葉だけ咲いて
花は沈んでいる
雨の糸を便せんにして
めぐらせる想いを
たて書きにして無言でつづる
すべては私のせいなの
男性の影散らせつかせ
家族スケッチはうすれて
やがて何もみえなくなった
正直になる時
誰かを知らぬ間に
傷つけてるかも知れない
何か置いてきてしまったと
孤独に閉ざされると
子供の顔よぎる
雨の糸を便せんにして
くぐらせる想いを
たて書きにすると 涙が文字に