シングル・ファーザー
0■シングル・ファーザー
いい父親になどなるものか
うちの子供たちは皆いいから
女たらしでのんだくれでも
してやれることはやってきた
子供にそだてられているのさ
こころぶつけ泣いて笑い
あるべき姿などないんだよ
家は愛それもひとそれぞれの
いい父、いい夫、いい男になれなくて
ママが出てゆくまで
わたしが長いあいだ見ていたのは
美しい死だ シングルファーザー
頬ずりしてるヒゲの痛さを
おぼえていてくれたならばいい
おまえたちの最後のひとりが
手をはなれてホッとしているよ
古畑任三郎が自転車乗るように
送り迎えしたね
いつか思い出してくれ かくれてひとりで
わたしも泣いてた シングル・ファーザー
もうそろそろ言っていい頃
おまえたちは わたしの子じゃない
でもわかってくれるよな
わたしの子供にやっとなった