■催花雨(さいかう)
胸をやぶけば ざあざあ降り
傘さしかけても肩が濡れる
畦道(あぜみち)歩いて テレビ電話
エフェクト盛ったら逆に泣きそう
かなしいよ
きみのかたちのまま
こころから抜けてる
愛しささえ呼び戻せない
雨に濁る川に 鷺(さぎ)が
足を一本上げて
見ているきみの背中
ああ なんてひとはひとり
着信歴をふたり出てゆく
発信歴からもやがて消える
苦しいよ
いい歳をすぎても
12のようだった
恋しさが冷酷な顔をする
プラスチックゴミが うかぶ
川に鷺はまだいる
過ぎゆく時の背中
ああ なんてひとはひとり
どちらが先に切るのか
電話の電波も悪く
ああ おつかれさん僕ら
※タップして下さい。