英知と恥辱
0■英知と恥辱
いくさには大義がない
女のいくさも見栄だ
草原の掟(おきて)を守り
暮らすことがなぜ出来ぬ
あの者たちを退けよ
よごれた果実を英知と呼ぶなら
みんな滅びてしまうがいい
敵か味方か おとりか獲物か
史書に記されるのは
歴史を盗んだ者ばかり 民の声とおく
愛よ戻れ こころの渇き潤せ
わたしは無力さに悶えている
声なき叫びよ 届け
わたしは草原の守り主 一羽の鳥よ
もし真実がひとつと
いうなら投降していい
敗北は生きるだろうよ
血で大地を汚すよりは
すさんだ奴らを遠ざけろ
降りる鷲の影 神のご加護あれ
逃げまどう民のすがたを見よ
悪か正義か 勝者か敗者か
史書に記されない
ささやかな暮らしに太平を そっと願うばかり
貧しささえ 誇りにならんことを
わたしの羽ばたきは見えるだろうか
拳にある怒りで つらぬけ
わたしは高くでさえずる 一羽の鳥よ