恋音
0■恋音
ラフマニノフの曲だね
きみは同じところで
必ず間違えるけど
今日はうまくいったね
だんだん上達してく
きみのテニスプレーに
ぼくはピアノの曲重ねる
レパートリーもふえたね
きみの上手(うま)すぎない
バックハンド
コートギリギリに決まる
ふいをつかれたよ
放課後は秘密に似合う
夕日がきれいだ
もし恋をしてなければ
こんな綺麗な夕日にも気がつかなかったよ
中退するなんてまさか
思いもしなかったし
そういえばここのところ
きみは元気なかった
僕は想いの外(そと)にいた
挨拶もかわさずに
ここっていう場面に
よわいのがぼくなんだよ
きみのような ひとじゃなく
きみに似てる.....
ちがう ぼくは きみをそう
ずっと探してた
一人で今 練習する
ぼくは打ち返す
ラフマニノフのあの曲
きみの手とかさね連弾する 聞こえる遠く
念願のFour-hand 今ごろ
それは誰にも知られず
終わったぼくの恋音になった
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