歌枕 15,2021 0 ■歌枕どこを旅しても歌の中であなたのことを詠んでいるこの心は 遠く離れるたびあなたの許へ戻っていく終(つい)えたのに あなたへの想いは深まっている歌よ飛んでゆけあなたに届け 歌に隠したのはあなたを殺めるために 光る刃(やいば)だ風に吹かれ 何を見ていても私はそこに あなたを見る露に結ぶ さかさまな想いあなたを掠め 照らしてく返歌もなく あなたはとうにあの女(ひと)と一緒にいる歌よ せめてつつめあなたの日々を歌に忍ばせたのは返り討ちして死ぬ私の血の刃だ SHARE