貌(かお)
0■貌(かお)
貌(かお)には地図が記されている
そのひとの生きた履歴書でもある
女は器量と愛嬌だと
男たちそう決めつけたがるけど
本当の貌(かお)など見せるだろうか
ましてや女は微笑みのもとで
素顔の朝でも男に見せない貌(かお)がある
気づいた時には手遅れ
心の貌(かお)が
表に滲み出ていることを 本人だけが知らない
厚塗りなのは男のほうだ
見栄や意地や恥の上塗り化粧
女はひそやかに見抜いている
男の弱さは強くみせること
本当の貌(かお)などわかるだろうか
日々に追われては見返すまでもなく
誰もが無関心で通り過ぎる貌(かお)がある
気づいた時には災難
自分の貌(かお)が
もうどこにもなくなったことを 本人だけが知るのだ
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