■隠岐海峡
もしもふたり同じ砂浜(はま)に
打ち上げられても
同じ貝殻を握らないと
伝えたかった あの人に
北の女はあたたかい雪
眠らせた長い夜(よ)も いつしか朝に
男は男にないものを
女は女にないものを
互いに求めると言うけど
どちらにもあるものを
本当は欲しいのに
波の声ばかり する 隠岐海峡
よる化粧をしてもなぜか
気も晴れません
今日にあすを見つけたくて
乗らなかった あの夜行に
約束の場所にいなかった
それはわたしの気持ち 行ったと同じ
おやすみとは告げたりしない
さよならとも違う気してる
かなしみから目覚めるたびに
あなたのいないこの世界に
おはようと言おう
時をあきらめて ああ 隠岐海峡
