雪かがみ
0■雪かがみ
白夜のように しんと
そこはかがみ雪あかり
うごかない汽車の中で
やくそくだけただすり抜けます
逸(はや)るこころ 押さえ
石炭ストーブの炎 色は そこだけ
叫んでも 叫んでも 声にならない
あなた待てば 離ればなれ 今日まで来た
逢うに逢えなかった それでよかった
くちでは言うけど わたしは今も あのときの女
べに珊瑚の帯留め
かたみのようにむかしかざる
なぜだか ひとりで生きてしまった
氷に鏤(ちりば)め、脂に描(えが)く
どこまで行けばいい
いつまで待てばこの想い あきらめられる
泣き濡れて泣き濡れて 砂のようです
風にちぎれ 一度きりの 逢瀬はきえて
また海鳴りが とどろくばかり
生きるおもたさに ふと帰ります あのときの女
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