水を浴びる女
0■水を浴びる女
言うに言えないことばかり
聞くに聞けないことばかり
夜寒に灯りを消したまま
女は何度も水を浴びます
流すに流せぬことばかり
かがみに映せぬことばかり
自分のせいだと気づくころ
うなじにさびしさまとわせる
洗うたびに あらわれてくる あいつの
指紋を心が 消せない
髪の雫の数珠ほど
涙が冴えてゆく
我が身さえざえと
女は水を浴びつづけるのです
忘れ忘れて かえれずに
こんな女の 身代わりに
ほつれ毛ひとつ 泣いている
月に雁呼べば 身も細る
はだかのまま 顕(あらわ)になるよ わたしの
居所はないのと同じ
叫びだけが頬を切る
何を怖れてるの
もて余す体に
水をかけるとなおさら火照ります
「歌詞のようなブログ」