■粉雪のアリア
ふたりは来なかった
やくそくの場所に
雪のランタンが
いくつもおちてた
誰かが投げ捨てた
英字新聞に
くるまれた赤い
薔薇が死んでゆく
広すぎる空
風が抜ける
酔いどれが それを 見ただけ
溶けるくちづけ あなたとかなしみに
透きとおる
あゝ粉雪のアリア
ふたりは来なかった
別れのかわりに
叫びが降りてくる
澄んだ空気連れて
髪には風信子（ヒヤシンス）
あなたの匂いも
追憶にまぎれ
忘れられてゆく
鐘は夕日を
連れておちる
鳥たちは 一勢に 飛びさる
愛していても 愛されるとは そう
限らないの
あゝ粉雪のアリア
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