月山
0■月山
月山は山にあらず 然しそこに燦然(さんぜん)と在る
山と抱けるものよ この身に山と降るものよ
今まだ心を知らず じっと天(そら)を仰ぎ見ている
闇に浮かびしもの それは月から見ているもの
憧れても憧れても届かぬものありて
世界は山のすがたをして
手を伸ばそうとする
月と言うのじゃないのだけれど 寂しさにも照らされる
あなたはどこで見てなに思う 今宵の月山
月山は山にあらず いにしえからすぐそばにある
突きくずすその時を 山と言うこともあるから
山に消えたあの者たち 決して追いかけてはならない
石になるな 木になるな 人間になり歩いてゆけ
叫んでても叫んでても聞こえないものありて
こんなにそばでふれられない
心は問いかける
愛と言うのじゃないのだけれど 夜空にうでを通して
あなたも明け渡してはならぬ わが月山は
山は浮かび 山は沈み 人生の深淵にわが身を映す
それはきよらかであどけないもの
憧れても憧れても届かぬものありて
世界は山のすがたをして
手を伸ばそうとする
月と言うのじゃないのだけれど 寂しさにも照らされる
あなたはどこで見てなに思う 今宵の月山
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