みんみん蝉
0■みんみん蝉
ふらつくように転がりこんだ
小汚い便器にしゃがみこんだ
拳を噛んでガクガクしながら
嗚咽(おえつ)がもれないようにした
あんちゃん チンピラ風情の俺を
一人前の金貸しに 育ててくれた ああ そうだね
人が死ぬって怖ぇ 汚泥の底の町
俺がかたきを取ってやりたいけど
うすら寒い風が抜ける まだ俺はクソ餓鬼だ
素人彫り師の 下手くそな刺青(すみ)が疼きだし
俺の背中でみんみん蝉が鳴きました
冬というのにみんみん蝉が鳴きました
いきなり胸ぐら掴むような
卑しい出来事がまかり通る
汚いことしやがってよ 血が
ぐらぐら煮えたぎってくるぜ
あいつらも まだまだしょんべん臭い
痛みのわからないやつに 人を殺す資格などない
ずいぶん偉くなったと 言われるけど てめえ
俺はちっとも変わってなどいない
見られかたが変わっただけ まだ俺はケツは青い
にらみをきかせる 息が上がるけど気を吐くぜ
俺の背中でみんみん蝉が鳴きました
鼻擤(か)み擤み みんみん蝉が鳴きました
入り交じった匂いの 狭い個室で
俺は祈りつづける
「歌詞のようなブログ」