鷗
0■鷗
私は一羽の鷗だった
ぎらつく 残酷な
あなたの海が
好きだった
刺すような まなざしの
あなたの波に
抱かれた
あなたと想いを遂げたら
終わる そんな恋
この悲しみをうばわないで
この悲しみには あなたがいる
想いからひとは生まれ そして
願いを 伝えては
希望を託(たく)す
今わかる
この長い髪の毛で
あなたをしばる
忘れると
化身はきらめき はばたく
あなたの腕を抜けた 夜明け前
この悲しみをうばわないで
この悲しみには あなたがいる
あなたのまわりを
まわりつづけて
一羽の鷗は
やがて消えた
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