ちりて花
0■ちりて花
朝市でうつわを手にとる
あのひとの表情ときたら
まるで猫の目変わるようだ
僕はしばらく息をとめる
金魚すくいの紙やぶれても
一応あずかるなんて言う
所詮、僕の想いなんてね
百日紅の花とこぼれる
その会は「花偲ぶ」という
人生を終えかけた人びとが
季節毎に咲く花を愛でる会
人も可愛い花よとあのひと
丹精込めた それぞれの
鉢植えをほめている
泣くがいいさらに笑うがいい
どのみちひとは 半日花
むかしにつれあい亡くしても
あのひとが外さぬ指輪
口にださぬかずかずのこと
僕にも言えないことありて
あのひとはこの僕によく言う
わたしたち皆ちりて花と言う
よしなよしなにと僕が言えば
科戸(しなと)の風に ふたりくすぐられる
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