住所録
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■住所録
住所録からも 消えてた
そんな場所に 気づけば来ていた
さいごの有給をつかってひとり
思い出に名を借りて歩いた
市街地を一歩入ると
なつかしい枯木立がふるえる
きみと暮らしたアパートは
さら地になって そこは風色
斜めによこぎる電線のむこうには今も
あの日の風に吹かれまだ
アプリコットの木があった
さよならも過ぎ去ったあとは
いい眺めだね 思うよりはね
あわれ若き日の虚像たち
今は眠る かたき討ちもせずに
海賊版(ブートレグ)のよう 若さって
それでいいよね あの頃の仲間
青春の墓場 時のVINYL盤まわる
アマチュアバンド
何かをつかむために 現実と刺し違えたか
そんなこと考えもしなかった
怖かったからさ
血管をめぐる想いに
手のひらの柑橘(オレンジ)かみ砕けば
トパアズに立ちのぼる空気に
僕はいるけど郷愁じゃない
自分のために 生きていくよ
どんななみだも 未来の起点さ
まっさらではなく
つぎはぎだらけでも 過去に
修正液などない
愛することでしか
かなえられない世界がある
捧げることでしか
もうわからないことがある
僕の住所 いつか消えたら
街はまた 生まれるけれども
心の住所がある限り
誰も住所録を彷徨わない
「歌詞のようなブログ」
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