いざない
0■いざない
時は喪失をまたひとつ置いてゆく
眠りにつけない恋が
あなたを思い出にしてくれない
むねのさざなみはグラスの琥珀に
わたしを残したまま
ため息をささやく 宝石にする
あなたをいつも見送る
わたしはかがみのなかで
くちびるのかたちにひろがって
リップ・ステックの色がにじむ
今夜言おうとしていた
さようならをあなたに また 言えぬまま
時は失望をあまやかにふちどるの
わたしが見ているものが
あなたにはなぜだか見えない
その耳のかたち 影が射すあごの鋭角
口移しするすべて
あなたを切り取って かざっておきたい
いとしさ笠に着るそのくせに
満たされてゆけばくずれるこころ
握りしめすぎた手ほど
ほどけやすいものだと なぜ 知ってゆく
ほかのものには なれても
愛にはなれない 時の褥(しとね)で
あなたをいつも見送る
わたしはかがみのなかで
くちびるのかたちにひろがって
リップ・ステックの色がにじむ
今夜言おうとしていた
さようならをあなたに また 言えぬまま
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