ジンバブエ・トリック
0■ジンバブエ・トリック
やけつく町はひき潮
陽炎ゆれる坂を
日傘だけがきえてゆく
それは世界のはてのよう
すべてが甘い嘆きさ
こころはひび割れてく
苛立つのは愛のせい
そんな男なんかやめたい
きみに嫉妬している
僕は死ぬまで許さないだろう
この失望はそれだけで むしろ
しあわせですらある
野良猫が一匹横切った
それだけだった 終わりだった
リップペンシル一本で
きみは心決めたね
本気になったあなたが
いけないのよと微笑った
恋の名のもとにおいて
誰が潔白であろう
きみのそのあざやかな
幕引きが唯一の救い
きみが焦がれるのは
運命を手放した者に味方するかもな
僕たちはお互い語らない過去からも
つくられていたよ
美しい夏の一日だった
日傘がきえた 終わりだった
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