かなしくて庭の草ひく
0■かなしくて庭の草ひく
曾祖母のことし最初の
薔薇が綻びだした
めぐりめぐって
旧い曾祖母の形見は
私の許に来た
写真の男性は
異国のひとにも見えた
知らなくていいこともある
鏡台のひきだしに匿(かく)れていなさい
すべてを語らせないように 曾祖母の
薔薇は満ちて 空高くつれてゆく
良き妻良き母と
みんなにいつも自慢してた
曽祖父はなにも知らなかった
きっとそれでよかった
誰を想い髪を解(と)かし
紅を引いたのだろう
かなしくて庭の草ひく
曾祖母の乱れた文字
もし運命(さだめ)が違ってたら
私はここには
いなかっただろう
謎は解き明かさないためにもある
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