熾火(おきび)
0■燠火(おきび)
かなしみはとても燃えやすいから
わたしはそれを暖炉に投げ入れる
はやく灰になることを願って
思い出という薪(まき)をそっとくべる
あなたは生前よくそう言っていた
自分に言い含めるように声を落とし
くるしむひとほど燃える火は大きい
燠火(おきび)は私をこおらせる代わりに
思い出の中のあなたをあたためる
かなしみの手紙はとても長い
わたしは読んでひとおもいに捨てる
はずみで生まれ はずみで死んでく
言葉の重さと命の軽さよ
同じ白い花がゆれているのに
あなたはあの娘の白をえらんだ
愛にも節度が必要かと 悲しみいろ
あなたのことはとうにわすれています
熾火(おきび)はゆらめく
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