悲しくてなんか笑ったよ
0■悲しくてなんか笑ったよ
せめてミニラ級ぐらいには
暴れたかったのに
私の中の怪獣たちは
吼えもせず あえなくあなたに
撃退された
まるで特撮フィルムのようじゃない一日
ミニチュアタウン 露店のような出来事
普段の人混み
なのに斜めに日は傾く
全貌は分からなくても
尻尾だけでも別れは見える
私たちを押しわける
まばたきだらけの
不安な親近感 何だよ これは
恋人繋ぎしてる手に持つ携帯
画面を斜め読みしながら
気づいたら
ピンチアウトした
悲しみがほらふたりに居着いた
だけど私 気づいてた
あなたは
携帯なんか見てなかった
私も携帯なんか見てなかった
備え付けの小さな冷蔵庫から
取り出した350ml
冷たい缶のプルタブ引いたら
ふたり 何か 終わった
思い当たるふしがないように
心当たりがないように
差し障りのないこと話してたら
悲しくてなんか笑ったよ
そうね いつだって
あなたは
私の目を見ていなかった
私もあなたの目をみてなかった
もう知らない 末期的ね
悲しい場面消せるマジック
使い果たしたの
それでもあなたが使った
バスタオルがテーブルに
きゅんと丸まってて
思わず抱きしめた
だけど私 気づいてた
あなたは
携帯なんか見てなかった
私も携帯なんか見てなかった
ふたりはふたりのいない世界を
ふたりに見ていた
「歌詞のようなブログ」
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