円
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僕は見えない もはやだれにも
そして唇は
幾重にもかさなり 声たちは
しじまになる
僕の指から つばきのひとつ
落とせば寄ってくる
金や銀のうろこ 円(まどか)に
きみの口紅いろもほどかれて
いのちは 短き恋の 筆談の如く
見えなきものが見える
そんなひとの不幸せ きみの手と僕の手はひとつの梃子(てこ)
なんと なんと 古寺には
笹鳴きが伝うだけ
貌(かたち)を持たぬ 僕はきみの
すべてになりうる
運命(さだめ)の転てつ機は きみの手で
切り換えられる
人の世は さかさまに映り 流れる泣き笑い
きみに綴りつづける
手紙の筆は かすれ薄れそこになにも
書いてなくても それが愛だ
おぼえていきなさい
後悔しながらひとは生きてゆく
愚かさを喰べて 憎しみを喰べ 喰い散らかして
やっと 水の輪をくぐる
「歌詞のようなブログ」
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