貸し倉庫
0■貸し倉庫
軸にふれたようにカモメが一勢に飛び立つ
私の髪が風に膨らむ埋め立て地のこの一帯
貸し倉庫(コンテナ)は架空の名義で埋まってゆく
閉められた秘密の鍵束は誰が持ってる
猶予期間はあと半年
ふたりの一切合切を
倉庫で保管してもらってる
あたしたち 一体 ナンだったのサ
倉庫には密入国者が中にいるかもね
きっとヤバいものどこか潜んでいるかも
睦(むつ)みあう若い子が中にいるかも知れない
コンテナに押し込んだのはあたしたちの亡骸
猶予期間はあってなきもの
あんたが過去である限り
あたし今を恋するしかない
あたしたち これまで ナンだったのサ
貸し倉庫（コンテナ）に
あたし放り込まれたりしないよ
逆カウントで追いつめられた時
どこかからケータイが鳴っている
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