■夏だったんだよ
立ちどまる夏のわるふざけに
いっそ君に想いを告げようか
だれもかれも急ぎ足でゆくから
儚んでしまうよ 君もやがて行く
薄れゆく夏の感光紙に
そっと君をぬすんでしまおうか
ただの夏の出来事にしていいよ
ふたりを知るひとも やがていなくなる
涼しげなすげなさを見せてよ
素性なんて語りはしないけど
つれなさゆえおちるさだめもあるよ
でも僕は過ぎない 君が過ぎたあとも
堰(せ)きとめる夏の思いつきに
淡く君はまなざしくれるのか
通り過ぎる人々はいいひとで
惜しんでしまうよ わすれても
みんなみんな好きだった 夏だったんだよ