女豹
0■女豹
おくびにも出さずに 爪にからめて
誠実そうな男がまた えじきにされてく
そっと忍び寄って 気づかぬうちに
善良そうな男がまた あたしに暴かれる
あなた心当たりないですか
後ろめたいことおありですか
善良そうな男が またあたしに握られる
この街も欲望だらけの廃墟に見えないか
澱(よど)む流れに
南無妙法蓮華経など咲きゃしない
おいで おいで あんたも
ええの ええの したろうか
ええこ ええ子 したろうか
口さがないうわさ 全部本当さ
主婦なんていうあこぎな役 あたしは出来ない
辻褄あわせるような 嘘八百
全うそうな男にまた あたしの牙食い込む
この世の地獄にゃ 番地がある
足跡ひとつ残さぬままに
過(あやま)たずあなたもそう 無明(むみょう)というものだね
あたしが歩くとほらみんな 遠巻きにしてゆく
生きるこの世は
女偏の漢字たちが まだ縛る
おもて 裏も いっしょさ
ええの ええの したろか
ええこ ええ子 したろか
あたしがただのおんなに見えるなら
あんたはいいおとこなんだろうね
一枚上手と見せかけて あんたを
あとで餌にしてやろう
・・・・・・・・・・
■女豹
男たらしって言葉あってもいいでしょ
女に生まれたからには美しい狩りを
卯月の暁に あんたおびき寄せて
はだけたからだで落とし前つけてあげる
買ってもらったバッグも宝飾品も
手にした途端 褪せて見えるあたし
くちびるが愛のためだけにあったらいいのに
この街も欲望だらけの廃墟に見えないか
澱（よど）む流れに
南無妙法蓮華経など咲きゃしない
だから子守唄うたうのよ
ええの ええの したろうか
ええこ ええ子 したろうか
思わせぶりな 態度は見せない
本気の男には無関心装うものよ
口さがない うわさも勲章
誘い込むルージュ 今夜の歌まくら
この世の地獄にゃ番地があるのさ
過(あやま)たずそう あんたも無明(むみょう)だよ
裏切りは真実よりたしかな出来心
あたしが歩くとほらみんな 遠巻きにしてゆく
生きるこの世は
女偏の漢字たちが まだ縛る
おもて その裏も いっしょさ
ええの ええの したろか
ええこ ええ子 したろか
あたしがただのおんなに見えるなら
あんたはいいおとこなんだろうね
一枚上手と見せかけて あんたを
あとで餌にしてやろうか
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