■喪失
時はいつしか喪失だけを置いてゆく
一秒ごとに消滅する愛のよう
私の短いいのちを運んでゆくの
時に託(たく)した願いはかなく流れてく
光浴びては訝(いぶか)し気に睨(にら)み
私はこみあげるかなしみであなたを揺さぶる
くちびるのかたちに鏡がひろがってく
青い波で部屋が埋まる
リップ・スティックの色だけにじむ
さようならとあなたに言えぬまま
時はいつしか沈黙だけを置いてゆく
やるせないほどの行き場のなさを
私は自分に刻んでは呼吸している
あなたに貰った やさしい気持ちになぜか
月をみあげ苛立ってる
さびしい模様に滴る気持ち
さようならとあなたに言いかけて